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この日を 忘れない

東には厚めの雲の一群がいて、太陽はそこからなかなか顔を出せないでいる。
やがて真っ白な雪をまとった富士の山頂だけがサクラ貝のように色づき輝き始め、
その美しさに言葉を失う。

空気は澄み渡り、くっきりとその姿を見せている山の稜線や半島の輪郭。
空に浮かぶおおきな雲の塊と合わせて、世界の全てがゆっくりと呼吸を始めたようだ。

ここの海や空気が、こんなに透明感があると知らなかった。
きらきらと輝く光の粒が、そこかしこにとふえてゆき、
やがて目を開けていられないほどに、私の周り全てを包み込んでしまった。

高ぶる気持を抑えたくてゆっくりと呼吸をすると、
そうはさせないと言わんばかりに、更に世界は眩しく光り輝く。

今もまだ、夢の続きにいるようです。

このような場所があるなんて、想像していなかった。
このような波が割れるなんて、映像や文章では理解できていなかった。

今日は夢のようなひとときを過ごした、長い波乗り日記となります。





1年以上前からだったか、
波乗り大先輩のきんちゃんから
「keiさんにこのブレイクをぜひお見せしたい!」
と、熱いラブコール?をいただいていたのです。

そのブレイクとは、
きんちゃんが30年以上前から入っている場所であり
上級者たちオンリーという、どうやらすごいところらしい。

ネットや人づての話からしか知らなかったその場所に、
どうして波乗り初心者の私が入れるというのだろう・・?

しかし
きんちゃんの力強い?プッシュもあり、なんと本当に実現することとなってしまったのです。


11120411.jpg


緊張と興奮のためか、睡眠時間2時間での出発。
特に初めての場所では色々な意味で疲労が増すために
心身の調整はしておきたいところ。
しかしそのような事はすでにどうでもよくなり、
とにかく湘南へと車を走らせる。

ニコニコのきんちゃんと落ち合って先導していただき、その場所へ。
白んでくる空には、まだ星が輝いている。
とにかく土地勘がないため、先輩のあとをただついて歩く私。


11120412.jpg


きんちゃんの車には、
何度か面識のあるマサルさんと、職場の先輩だという山梨さん。
3人で暗いなか波チェックしながら、
うーん とか あーん? とか話し合っているけれど、全く理解出来ず・・


よし、入ってみようという事になり
駐車場で着替え、いざ出陣へと至る。
この時まだ私は ??? でいっぱい・・・

11120413.jpg


こんな秘密の小径を入っていく。
いつもの判りやすいアプローチとは全然様相が異なる。
これだけで更にテンションが上がる。

実は案内いただくのは、岬の先に時々出現するという、リーフブレイク。
崖をめざしていくので、ハラハラドキドキとしているところです。

途中きんちゃんとマサルさんが
「崖がいつ崩れてもおかしくない、この前も崩れたね」 
とか
「足裏が痛いので痛いところを押してみたら、次々ウニの刺が手品のように出てきた」
とか
コチラとしては笑って聞いてはいられない話を、平然とした顔でしている。

そのような危険な場所へ、この男達を惹きつけるものって・・?


11120406.jpg

左の岬の見えない向こう側には、極上の波が立つと言う。
一体、どのような波なのだろう?

初めてのブレイクへの不安のひとつは、エントリーの仕方。

道中、
小砂利すすき野道を抜け
怪しやハシゴをボードを抱えながらバランス越えし
ノコギリ橋を渡り
ゴロタ石をカタカタと言わせながら歩く。

なんというか、ものすごくワイルド。
こんなアプローチは初めてなので、私はそれだけで息があがりそうなほど興奮している。

前日のきんちゃんからのメールに
「ブーツ必帯のこと、さもなくば、入水ならず」
とあった意味を、ようやく理解する。
しかし当の本人きんちゃんは、なんと裸足なのだから、すごい。


ブレイクは3つありキョロキョロとしていると、山梨さん、右にパドルアウト。
あっと言う間に遠くに行ってしまった。
次に、マサルさん、左にパドルアウト。
スイスイと崖に沿ってパドルして行ったかと思うと、途中からまた崖に上陸。
きんちゃんは
「マサルは上陸するのが好きだけど、オレは嫌だからずっとパドルで行くのだ」
と言う。

きんちゃんに並行していただきながら、
その隠れたブレイクを目指す。
沖に出て曲がっていくものと思っていた私は、
崖の下に沿って行くという事で、心臓がバクバクとしている。

なんというか、このワイルド感が
恐怖と高らかな興奮とのカオスを私のなかに増幅させるのだ。


11120408.jpg


ここでは基本的に
*ショートボードしか乗れないブレイク
*波が小さめのと時だけ乗れる、ロングとショートOKのブレイク
*ロングボード主体のブレイク
があるようで、どうやらそのショート専門のブレイクに、とてつもなくいい波が現れるらしいのです。

きんちゃんはこのブレイクの主族のようで
一緒にショートボードブレイクにたどりついてみれば
常連さん方がみな、私にまで笑顔で挨拶をくださった。

早朝は風が思ったよりも強く、
崩れる波からのスプレイで視界が閉ざされてしまうほど。
それでも先輩方は次々と波に乗り、
華麗なライディングを見せてくださるのだから、思わずため息が出る。

私はと言えば
実は車に乗せられるボードに制限があり
1度しか乗った事の無い、8フィート位のロングボードを持ってきてしまっていた。
本当ならロングのクアッドにしたかったのだが、
どう積もうとしても、難しい長さだった。
しかし、あとでボード選びの大切さを知らされる事となる・・


ここは、どこだろう? と度々わからなくなる。

あまりにもロケーションがすばらしすぎる。
地図上では鵠沼や鎌倉と同じ湾内であるはずなのに、この壮大さはなんだろう?
空気感が、全く違う。
江ノ島の向こうには、真っ白に輝く富士。
ちょうどチューブが巻く向こうにそれがあり、それだけで絶景。
目の前の広い海の向こうには半島の先が見え、そのうえの雲からは、なんと竜巻が発生している。
振り返ればそそり立つキツネ色の崖があり、波が当たって細やかな真っ白な泡となり、崩れていく。
山の上からは眩しい太陽がそれら全てを照らし出し、
動きあるもの全てが、静かで大いなる静寂のなかに存在する錯覚に陥った。


11120404.jpg


やってきた小ぶりな波に乗ろうとした瞬間、一気に立ち上がる波の壁に腰が引けてしまった。
下が一面の岩とウニ畑、というイメージが頭から離れない。
それでもようやく波に乗ってみると
いつも乗っているそれとは全く質の異なる波なのだと、はっきりとわかってしまった。

いつもの乗り方ではうまくゆかない、というか
私の波乗りの弱点が如実に現れるようで、
どういう角度で斜面に侵入すべきか
波に押してもらうのを待つのではなく、自分から行こうとする感覚
そのような課題解決のための練習が、まだまだ足りないのだとはっきりとわからされた。

ひとつ得意としたのは、派手なパーリングで
「波に乗っていないのに、インサイドにいくなよー」
と、きんちゃんやマサルさんからは大笑いされてしまった。
こういう技を得意とするのはもうやめたいなあ、と、しっかりと心に誓う事となる。

きんちゃんはずっとこちらを気にしてくれていて
私が1本波に乗る度にしっかりと観察していてくれ、
アウトに出て行く方法や、今の何が良くなかったのかを、事細かに教えて下さる。
今の私はとにかく
波乗りのあれこれ、自身のあれこれについての客観的意見を心底求めているので
彼のあたたかなアドバイスや様々な知識を少しでも吸収しようと
しっかりと私のこころと身体に丁寧に刻みつける。

そこらのサーフィンスクールより、よっぽど勉強になるなあ、と
嬉しさを隠しきれない私はまたトライしようとするのだが
これがなかなか決まりきらない、ヘッピリサーフになってしまった。

時計を車に忘れた一陣は、いまが何時なのかわからない。
山梨さんはとっくに陸へ上がってしまったよう。
どこまでやるー?
となって来た時、
あれ?
風が止み、波は一気によくなってきた!

ザワついた面がきれいにまとまり、
形のよいキラキラツルリとした波が入って来るようになった。
波に乗れば、斜面の下には海底の景色が見える。
そのような波乗りは、初めてだった。

この海が更に透明度を増す季節になると、
なんとあまりにも透明すぎて、乗っている波の斜面がわからなくなるらしい。
そのような現象が、本当にあるのだろうか??



「上がれないよー!」
と、ニッコニコのきんちゃんは、これまたニッコニコサーフに突入。
しかも、失礼ながら初めて気づいたのだが
きんちゃんは、波乗りがものすごくお上手なのだ!!

というのも、今まで何回か偶然にお会いした時の波は小波が多く
こんな華麗なライディングを拝見した事はなかった。
「きんちゃん、ウマいねー!」
と、失礼発言を続発する私に、嫌な顔ひとつせず

「ぜひぜひー」
「ノーズ、ノーズ!」
「来たゼ来たゼ、ひゅーひゅー」

などと、かなり大音量の独り言を連発しながら、ひょいひょいと波に乗って行ってしまう。
すごいね、きんちゃん。

そして、マサルさんは? と拝見していると
なんとも優雅に気持よさそうに斜面を滑っている。
うわー、マサルさんすてきだなあ。

途中、私の持って来たロングボードときんちゃんのボードを交換。
きんちゃん、ロングじゃパーリングするのカナ?
と思ってみたのは私のおおきなおおきな間違いで
「おもしろいぞ、このボード。ノーズすると、速くて止めらんねーぞ。」
と、ずばらしいノーズライディングをこれまた次々と披露。

おおー、パチパチパチ!
かっけー、きんちゃん!!

きんちゃんが、どれだけこのブレイクに、波乗りに命をかけているのかを、
思い知らされた瞬間でもあった。


こんなに波が良くなったというのに、
気づくとサーファーはまだわずか6、7人。
今日って日曜日だよね? どうしてこんなに空いているの?
と聞くと、
いやあ、いつもこんな感じよー、ときんちゃん。
しかし、このブレイクが本当の意味での威力を発揮する日になると
なんとプロ含め上級者ばかりが100~200名集結する事もあるという。
もちろん、そのうち波に乗れるのはわずか。
そして更に、もちろんきんちゃん、マサルさん達は、その先頭集団らしい・・

これにはこの場所へのアクセスやある意味閉鎖的なローカリズムが関係しているようだが
そのような極上ブレイクに、いま自分が居られるシアワセを
すっかり舞い上がり胸がいっぱいな私は、どう表現していいのかわからないのだ。


11120409.jpg

左から、きんちゃん、岡本さん、山梨さん、マサルさん 
一見フツーのお兄さま方だが、ウェットスーツをひとたび装着すると豹変するのだ!


気づくとすでに5時間経過していて
アウトに出て行くパドルも辛くなってきた。
マサルさんもすでに上がってしまい、きんちゃんと私もいよいよ終了となった。
実はこの上陸というのは、
波乗りで気をつけなくてはならない事のひとつと私は認識していて、
ここで気を抜くと、おおきな怪我に繋がる事も多い。

陸への帰り方、上がり方を教えていただき、なんとか無事帰還。
そこでもきんちゃんは、笑顔で待っていて下さった。

・・すばらしい体験だった。
はっきり言って、いつも訪れる湘南に
このような波が割れる場所があるなんて信じられない。
しかも、すばらしく気持のよい解放的で自然のエッセンスがたくさん詰まったロケーション。

まるで、夢のなかにいるよう。

まだまだ現実に戻れない私は、フワフワとした足取りで車に戻り
フンワリとした景色を眺めながら、帰宅の道を走る。
ふと右手を見上げると、明るい空に白い半月がにこりと微笑んでいるようにさえ見えた。
ああ、やはり私は夢見心地でいるのですね。
でも経験したのは、しっかりと確かな世界。

道中、134号沿いの海を由比ケ浜から江ノ島まで観察するが
この日はどこでも波乗りできるほどの波があり、
そしてどこも、大混雑なのだ。



波に取り憑かれる、そんな意味を、少しだけわかってしまった気がする。
この感覚を、更に自分に刻みつけたいという、激しい欲求にかられる。
またここで入りたい、と贅沢な想いに占領されてしまう。

その為には普段の練習を、もっときちんとしっかりとしなくては。

近頃の私は、自分の疑問やかたちに出来ない欲求を
どう解決すればよいのかわからず、悶々としながら練習に通っていた。
誰かに聞きたくとも、あてにできる人もいない。
でもそれに光が射したような気持になって、
たくさんのヒントをいただけたような充足感に満たされている。

それらはすべて、この日ご一緒させていただいたきんちゃんからのプレゼントであり、
あたたかな彼のお仲間たちが寛容に私を受け入れてくださったから。

きんちゃん、マサルさん、山梨さん、いくおさん、
お世話になりました。
ブレイクで出会った数名の先輩サーファーの方々、本当にありがとうございました。

私のなかの波乗りの概念が、少し変わりそう。
そしてもっともっと、あれこれを知りたくなっている。




まだ鮮明な記憶のなかの映像を反芻しながら、
まだ夢が続きそうな私は、仕事に向かおうと思います。

すばらしい体験を、ありがとう。
そしてこれからも、よろしくお願い致します。








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kei1205

Author:kei1205
keiです。

見上げる空、花の色やかたち
光の変化や肌にあたる空気。
店先で手にとった果実
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ひとつひとつ大切に思っています。

日々、感じたことなど。
流れ変化する自分の感覚を、記していきます。

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